越境ECに挑戦したいけど、関税のことがよくわからなくて不安…
そんな悩みをお持ちのあなたへ、もう関税で悩む必要はありません!
この記事では、越境ECにおける関税の基礎知識から、主要国の関税発生基準、そしてトラブル回避とスムーズな取引を実現するためのノウハウまで、徹底的に解説しますのでぜひ参考にしてください。
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越境EC関税のすべて!基礎〜スムーズな取引まで
1. 越境ECにおける関税とは?基本をおさらい
関税の仕組みと目的:なぜ関税は存在するのか?
関税とは、海外から商品を輸入する際に課される税金のことです。
例えば、あなたがアメリカのECサイトで商品を購入した場合、その商品が日本に到着する際に日本の税関で関税が課されることがあります。
関税には、大きく2つの目的があります。
- 国内産業の保護: 海外からの安い製品の流入を防ぎ、国内の産業を守ること。
- 国家収入の確保: 関税収入を国の財源として活用すること。
誰が関税を負担するのか?:出品者?購入者?それとも…?
基本的には、関税は輸入者、つまり購入者が負担します。
しかし、販売する越境ECモールによっては、出品者が関税・輸入消費税等をすべて負担しなければならないこともあるので、その場合は出品者が関税を負担する「関税込み(DDP)」という配送方法を選択する必要があります。
関税が適用される基準:価格?商品?発送方法?
関税は、以下の2つの要素に基づいて適用されます。
- 商品の種類: 商品によって関税率が異なります。衣類、家電、食品など、それぞれの品目に応じた各国の関税率が設定されています。
- 商品の価格: 基本的には商品の価格が高いほど、関税額も高くなります。
発送方法による違い:関税の支払いタイミングや手続き
発送方法によって、関税の支払いタイミングや手続きが異なる場合があります。
- 国際郵便: 一般的に、事前に関税を支払うことはできないので関税は商品受け取り時に購入者が支払います。
- 国際宅配便(クーリエ): 事前に関税を支払う「関税込み(DDP)」のオプションを提供している場合があります。
2. 越境ECで関税はどれくらいかかる?計算方法と目安
関税の計算方法:具体的な計算式と事例
関税の計算は、以下の式で表されます。
関税額 = 課税価格 × 関税率
課税価格は、商品の価格に加えて、輸送費や保険料なども含まれることが一般的ですが、国によって算出方法が異なります。
その為、関税の計算は少し複雑なのでここでは商品を海外から日本へ輸入した際にかかる関税を例にシンプルに理解できるようにご説明します。
(海外から日本へ輸入した場合の具体例)
日本だと個人で利用する目的で輸入した場合、課税価格が1万円以下であれば基本的に免税されます。
課税価格 は商品価格 × 60%となるので商品価格で言うと約16,666円以下であれば関税がかかりません。
※日本の場合、課税価格1万円以下でも関税の対象になるものもあります。
個人輸入の場合にのみ適用される「1万円以下の場合の免税措置」は、一般輸入には適用されません。
したがって、商業輸入の場合、課税価格が1万円以下であっても、該当する商品の関税率に基づいて関税が課税されます。
また、商業輸入の場合の課税価格は商品価格 + 運送費 + 輸入保険料となる為、課税価格の計算方法も異なります。
- 日本:個人輸入の場合
- 課税価格 = 海外小売価格 × 60%
- 日本:一般輸入(商業輸入)の場合
- 課税価格 (CIF価格)= 商品価格 + 運送費 + 輸入保険料
また、日本では、課税価格によって適用される関税率が異なります。
- 課税価格が20万円以下の場合: 簡易税率が適用される場合があります。簡易税率は、一般の関税率よりも低い税率が設定されており、輸入手続きの簡素化を目的としています。
- 課税価格が20万円を超える場合: 一般の関税率が適用されます。
上記は商品を海外から日本へ輸入した際にかかる関税の例ですが、関税の計算方法は国によって異なり、課税価格の算出方法も様々です。
一部の国などで例外はありますが、一般的に、越境ECにおける課税価格は以下の要素を元に計算されるということを覚えておきましょう。
CIF価格:商品価格 + 運送費 + 輸入保険料
原産地: 商品の原産国によって、関税率が異なる場合があります。
為替レート: 輸入時の為替レートが適用されます。
適用税率:簡易税率か一般税率か?
適用税率、特に関税が免除される金額については各国ごとに異なるため、越境ECにおいては事前に把握しておくことが重要となります。後ほど詳しくご紹介します。
関税以外にかかる費用:消費税、通関手数料など
関税以外にも、以下の費用がかかる場合があります。
- 消費税(または付加価値税、売上税):多くの国で商品価格と関税額を合わせた金額に対して課されます。ただし、アメリカなど一部の国では、州ごとの売上税が適用され、課税方法が異なる場合があります。
- 通関手数料: 税関手続きにかかる費用です。配送業者によって異なります。
3. 越境ECモール販売者必見!関税トラブルを防ぐ方法
関税が発生した場合の対応についての明記
越境ECモールで販売する場合、購入者に向けてモールのヘルプページにも関税に関することの記載はありますが、確認しない方が多いので自社商品ページに関税に関する情報を明確に記載しておきましょう。
(特定の国への配送が決まっている場合の例)
海外から商品を輸入する際、お客様の居住国の税関にて関税、消費税、通関手数料などが課される場合があり、[配送先の国名]では、原則として商品価格が[金額]を超える場合に関税等が課され、お客様ご自身で税関に直接お支払いいただく必要があり、配送業者から関税額の連絡が[連絡方法]で届きますので、関税をお支払いいただくことで商品のお受け取りが可能です。ご不明な点や、関税に関するトラブルが発生した場合は、お気軽に当店までお問い合わせください。丁寧に対応させていただきますのでご安心ください。
※正確な関税額については、自国の税関のウェブサイトなどでご確認いただくか、税関にお問い合わせください。
(世界中どの国から購入されるか分からない場合の例)
海外から商品を輸入する際、お客様の居住国の税関にて関税、消費税、通関手数料などが課される場合があり、商品がお客様の国に到着後、配送業者または税関から関税額の通知が届き、お客様ご自身で関税をお支払いいただくことで、商品のお受け取りが可能となります。
ご不明な点や、関税に関するトラブルが発生した場合は、お気軽に当店までお問い合わせください。丁寧に対応させていただきますのでご安心ください。
※正確な関税額については、自国の税関のウェブサイトなどでご確認いただくか、税関にお問い合わせください。
購入者からの関税についてのお問い合わせ対応
関税に関するお問い合わせが購入前にあった場合は、以下の点に注意して、関税に関する正しい情報を購入者に伝えましょう。
その際に販売している越境ECモールの規定に沿った回答をすることが重要です。
- 関税の可能性: 購入前に、関税がかかる可能性があることをはっきりと伝えましょう。
- 支払い方法: 関税の支払い方法(商品受け取り時、または事前に支払い)を具体的に説明しましょう。
- 丁寧な対応: 購入者の不安を解消し、信頼関係を築くために、丁寧な言葉遣いと分かりやすい説明を心がけましょう。
- 迅速な対応: 問い合わせには迅速に対応することで、購入者の安心感と満足度を高めることができます。
- 正確な情報提供: 誤った情報を伝えると、後々トラブルに発展する可能性があります。常に最新の情報を把握し、正確な情報を提供するようにしましょう。分からない内容は無理に答えず、現地税関のサイトに誘導して購入者自身で確認してもらうことも大切です。
- 販売している越境ECモールのルールも踏まえて回答することが重要です。
トラブル発生時の対応:再送手続き、関税返金、など
関税に関するトラブルが発生した場合、焦らずに誠実に対応しましょう。
商品が税関で止められた場合は、配送業者、購入者、越境ECモール、そして場合によっては税関とも連携を取りながら、再送手続きを円滑に進めましょう。
購入者へは状況説明や再送にかかる時間などをこまめに連絡し、安心して商品を受け取れるようサポートすることが重要です。
また、商品が返品になった際に購入者から関税の返金を求められることがありますので、現地税関の規定に基づき、購入者から返品理由や領収書などの情報提供を受けながら返金手続きを進めていきましょう。
アンダーバリューの提案は絶対に拒否
アンダーバリュー(商品の価格を実際よりも安く申告して関税を逃れる行為)は違法行為です。
罰金や商品の没収などの厳しい罰則が科せられる可能性があります。
そのため、購入者からアンダーバリューの提案があった場合でも、法令遵守の観点から、そのような行為には一切応じないようにしましょう。
4.関税元払いで発送する:メリットとデメリット
越境ECモールで販売する際、販売者が関税を負担する「関税元払い(DDP: Delivered Duty Paid)」での発送は、顧客満足度向上やトラブル回避に繋がる有効な手段となり得ます。
しかし、同時に対応や準備を間違えると販売者側の思わぬ損失や利益率低下といったデメリットも存在します。
導入を検討する際には、以下のメリットとデメリットを理解し、慎重に判断することが重要です。
メリット
- 購入者にとってのメリット
- 安心感と利便性の向上: 購入者は、追加料金や複雑な手続きを心配することなく、安心して商品を購入できます。
- 購入率の向上: 関税込みの分かりやすい価格表示は、購入の意思決定を促進し、購入率の向上に繋がることが期待できます。
- 顧客満足度の向上: スムーズな購入体験を提供することで、顧客満足度を高め、リピーター獲得にも繋がります。
- 販売者にとってのメリット
- 競争優位性の獲得: 関税元払いは、他社との差別化要素となり、競争優位性を獲得できる可能性があります。
- 悪質な購入者によるトラブル回避: 購入者が関税を支払わないことによるトラブル(受取拒否、返金要求など)を回避できます。
- 関税に関するお問い合わせの減少: 購入者からの「関税はいくらかかりますか?」といった問い合わせを減らすことができます。
- 一部の越境ECモールでは、関税元払いが必須の場合もあり: 特定のモールでは、出品者にDDPでの発送を義務付けている場合があり、そのような越境ECモールのルールに対応することができます。
デメリット
- 販売者にとってのデメリット
- コスト負担の増加: 関税や配送業者の手続き費用など、販売者側のコスト負担が増加します。
- 利益率の低下: 何も対策をしないとコスト負担増加により、利益率が低下する可能性があります。
- 予測困難な関税額: 商品の種類や価格、輸入先の国の状況などによって関税額が変動するため、正確なコスト見積もりが難しい場合があります。
- 関税元払いに対応していない配送業者もいる: 一部の配送業者は、関税元払い(DDP)に対応していない場合があります。配送業者選びの際には、事前に確認が必要です。
販売者が関税を負担する場合でも、購入者に事前に関税分を支払ってもらう方法があります。
Shopify等の自社サイトでは、事前に関税金額を予測して購入者に支払ってもらうプラグインなどが利用できます。
越境ECモールでは、商品価格や送料におおよその関税金額を上乗せすることで、関税元払いによる利益率の低下を最小限に抑えることも可能です。
関税元払いは、越境ECにおける販売戦略の一つとして有効ですが、メリットとデメリットをしっかりと理解し、自社の状況に合わせて導入を検討することが重要です。
5. 超重要!各国で関税が発生する金額を事前に把握しておく
さきほどお伝えしたとおり、世界各国にはある金額までは関税が免除されるデ・ミニミス(非課税基準額)が存在します。
その為、各国の関税発生基準を事前に把握しておくことは、スムーズなビジネス運営に欠かせません。
- 顧客対応の向上: 購入者からの「関税は発生しますか?」という質問に、的確かつ迅速に回答できます。これにより、顧客満足度を高め、安心して購入してもらえる環境を整えることができます。
- 適切な送料設定: 特に関税元払いかつ販売者が関税を負担する場合は、事前に把握することで、不必要なトラブルや損失を避けることができます。
- 発送方法の最適化: 分割発送や同梱発送を適切に判断するための重要な情報となります。場合によっては、分割発送することで関税を回避できることもあります。
各国の関税発生基準目安
国/地域 | デ・ミニミス(非課税基準額) (現地通貨) ※一部米ドル | デ・ミニミス(非課税基準額) (米ドル換算) 2024年7月1日時点 | 備考 |
アメリカ合衆国 | 800 USD | 800 | |
EU | 150 EUR | 170 | |
カナダ | 20 CAD | 13 | |
オーストラリア | 1,000 AUD | 667 | |
日本 | 10,000 JPY | 67 | 個人輸入の場合 |
韓国 | 150,000 KRW | 150 | |
シンガポール | 400 SGD | 300 | |
中国 | 50 CNY | 7 | |
香港 | 適用なし | - | 基本的に関税はかかりませんが、一部の例外があります |
台湾 | 2,000 TWD | 67 | 関税のみ免除 |
タイ | 1,500 THB | 45 | |
マレーシア | 500 MYR | 113 | |
インドネシア | 1,500,000 IDR | 100 | |
インド | 2,000 INR | 24 | |
ブラジル | 50 USD | 50 | |
メキシコ | 50 USD | 50 | |
イギリス | 135 GBP | 203 | |
ニュージーランド | 1,000 NZD | 600 | |
スイス | 65 CHF | 72 | |
ノルウェー | 350 NOK | 33 | |
ロシア | 200 EUR | 200 | |
南アフリカ | 500 ZAR | 33 | |
アルゼンチン | 3,000 ARS | 13 | |
チリ | 30 USD | 30 | |
コロンビア | 200 USD | 200 | 米国からの発送に限る |
ペルー | 200 USD | 200 | |
ベネズエラ | 200 USD | 200 | |
UAE | 325 AED | 88 | |
サウジアラビア | 100 SAR | 27 | |
イスラエル | 75 USD | 75 | |
トルコ | 300 TRY | 16 | |
フィリピン | 10,000 PHP | 178 | |
ベトナム | 1,000,000 VND | 43 | |
スリランカ | なし | 0 | 全ての輸入品に関税がかかる可能性があります |
パキスタン | なし | 0 | 全ての輸入品に関税がかかる可能性があります |
バングラデシュ | なし | 0 | 全ての輸入品に関税がかかる可能性があります |
ネパール | 5,000 NPR | 38 |
以下の表は、主要な国の関税発生基準の目安です。
ただし、具体的な金額や条件は国や商品によって異なる場合があるため、必ず各国の税関のウェブサイトなどで最新情報を確認してください。
6. まとめ:越境ECで関税を賢く乗り切る!
越境ECでは、関税に関する知識はビジネスの成功に直結します。
販売者として、事前に情報収集と準備を行い、トラブルを未然に防ぎましょう。
関税を正しく理解し、スムーズな取引を実現することで、越境ECでの売上拡大と事業成長を加速させることができるでしょう。
各国の関税に関する最新・詳細情報は、各国の税関のウェブサイトで確認できます。
関税は、越境ECにおいて避けては通れない要素の一つですが、正しく理解し、適切に対処することで、大きな問題になることはありません
この記事を参考に、関税の知識を深め、自信を持って越境ECビジネスを展開してください。
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