越境EC 物流

【フローチャートあり】越境ECでVATトラブルを回避!EU・イギリス向け販売の注意点と対策

2024.08.19

越境EC 物流.4 「越境ECにおけるVAT(付加価値税)の徹底解説:最新情報で疑問を解消し、スムーズな海外販売を実現」_20240818

海外販売の拡大を目指すあなたへ。しかし、その前に立ちはだかるのがVAT(付加価値税)という壁。

複雑な制度、煩雑な手続き…、一体どうすれば?

この記事では、越境EC事業者であるあなたが抱えるVATに関する疑問を解消し、スムーズな海外販売を実現するための具体的な対策を解説します。

税務リスクを回避し、顧客からの信頼を獲得し、海外市場での競争力を高めるためのヒントが満載です。

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VATとは?販売者にとって超重要!なぜなら…

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海外販売で避けて通れないのがVAT(付加価値税)。日本の消費税と似ていますが、決定的な違いは「誰が払うのか」です。

  • 日本の消費税: 商品やサービスを購入する、私たち消費者が負担します。
  • 海外のVAT: 基本的には販売者であるあなたが負担します。(特定の条件の場合には購入者が払うこともある)

しかし、あなたがVAT登録を怠ると、お客様へ予期せぬ請求がいってしまう可能性があります。

これでは、お客様は驚きと不信感を抱き、購入を諦めてしまうかもしれません。

顧客満足度を維持し、トラブルを避けるためにも、VATの知識を身につけておくことは非常に重要です。

越境ECにおけるVATの仕組み:なぜEUと英国が特に重要なのか?

越境ECで商品を販売する際、VATは避けて通れない課題です。

特に、EUと英国のVAT制度は、販売金額に関わらず、越境EC事業者にとって非常に重要となります。

なぜなら、これらの地域では、たとえ越境ECモール(プラットフォーム)を利用していても、販売者自身にVAT登録や納税義務が生じる場合があるからです。

これは、EUと英国が越境EC事業者に対して厳格なVATの遵守義務を課しているためであり、米国など他の地域とは異なり、プラットフォームが税金の代行徴収を行うケースが少ないためです。

一方、アメリカなど他の地域では、AmazonやeBayなどのプラットフォームがVATに相当する税金を代行徴収してくれるケースが多く、販売者は個別にVAT対応を行う必要性が低い傾向にあります。

米国などの他の地域では、プラットフォームが税金の代行徴収を行うケースが多いため、販売者の負担が軽減されることが一般的です。

そのため、この記事では、特にEUと英国のVAT制度に焦点を当て、詳しく解説していきます。

EUにおけるVATの仕組みと変更点

EUでは、2021年7月以降、越境EC事業者にとって重要なVATルール変更が行われました。

これらの変更点を理解することは、EU市場へのスムーズな参入と、法的リスクの回避に繋がります。

変更点1:輸入される全ての商品にVATが適用

従来は22ユーロ以下の輸入品はVAT免税でしたが、新ルールでは全ての商品にVATが課税されるようになりました。

つまり、たとえ少額商品であっても、EUに輸入される際にはVATの納税が必要となります。

変更点2:150ユーロ以下の商品の遠隔販売にはIOSS制度が導入

150ユーロ以下の商品の遠隔販売(お客様が直接海外の販売者から商品を購入する形態)には、IOSS(Import One-Stop Shop)制度が導入されました。

IOSSを利用することで、販売者はEU域内の複数の国への販売であっても、一括してVAT申告・納税を行うことができます。

IOSSについての詳細は後ほど詳しく解説します。

150ユーロ以上の商品には輸入VATが発生

150ユーロを超える商品の場合は、輸入時に購入者が輸入VATを支払う必要があります。

この輸入VATは、商品がEU域内に入る際に課される消費税のようなものです。

これらの変更により、EUへの輸出を行う事業者は、たとえ少額商品であってもVAT対応が必要となり、手続きが煩雑になる可能性があります。

しかし、IOSS制度を活用することで、VAT手続きを簡素化し、顧客体験を向上させることも可能です。

輸入VATとは:購入者が輸入VATを支払う必要があります。商品が到着した際、配送業者や郵便局が輸入VATの支払いを代行し、その後消費者に請求することが一般的です。また、プラットフォームや物流業者が、輸入VATを代わりに徴収して支払うサービスを提供している場合、購入者が輸入VATを間接的に支払う形となります。

EUにおけるVAT登録の必要性

EUでは、年間売上高が1万ユーロを超える場合はVAT登録が義務付けられていますが、1万ユーロ以下の場合でも、継続的な販売とみなされればVAT登録が必要となる可能性があります。

販売頻度と顧客数について、最終的な判断は現地の税務当局が行います。明確な基準は公表されていませんが、販売回数、顧客数、販売期間、販売金額、マーケティング活動などが考慮される可能性があります。

EUの場合、販売頻度や顧客数に加えて、以下の要素も考慮される可能性があります。

  • 在庫の保管場所: EU域内に在庫を保管している場合は、VAT登録が必要となる場合があります。
  • EU域内での事業活動: EU域内で事業活動を行っている、または行う予定がある場合は、VAT登録が必要となる可能性があります。
  • EU加盟国への配送: EU加盟国への配送サービスを提供している場合、継続的な販売とみなされる可能性があります。

EUのVAT登録の必要性についても、明確な基準は公表されていません。

そのため、判断に迷う場合は、現地の税務当局またはVATに詳しい専門家に相談することをお勧めします。

英国におけるVATの仕組み

英国はEU離脱後、独自のVAT制度を導入しました。主なポイントは次の通りです。

  • 135ポンド以下の商品の遠隔販売には、英国のVAT登録が必要: これはEUの新VAT規則と同様ですが、閾値が異なります。
  • 135ポンドを超える商品の輸入には、輸入VATが課税: これは従来のEUの仕組みと同様です。
  • 年間売上高が85,000ポンドを超える場合、閾値を超える前からVAT登録が必要
  • 年間売上高が85,000ポンド以下の場合でも、継続的にイギリスへの販売を行う場合はVAT登録が必要となる可能性がある

輸入VATとは:購入者が輸入VATを支払う必要があります。商品が到着した際、配送業者や郵便局が輸入VATの支払いを代行し、その後消費者に請求することが一般的です。また、プラットフォームや物流業者が、輸入VATを代わりに徴収して支払うサービスを提供している場合、購入者が輸入VATを間接的に支払う形となります。

英国への販売を行う事業者は、これらのルールを理解し、適切なVAT対応を行う必要があります。

特に、135ポンド以下の商品を販売する場合は、英国でのVAT登録が必須となるため注意が必要です。

また、たとえ年間売上高が85,000ポンド以下であっても、継続的にイギリスへの販売を行う場合は、VAT登録が必要となる可能性があります。

販売頻度と顧客数について、最終的な判断はイギリスの税務当局(HMRC)が行います。

HMRCは、事業者の販売活動や顧客情報などを総合的に評価し、VAT登録が必要かどうかを判断します。

明確な基準は公表されていませんが、以下のような要素が考慮される可能性があります。

  • 販売回数
  • 顧客数
  • 販売期間
  • 販売金額
  • マーケティング活動

HMRCは、これらの要素を総合的に判断し、VAT登録が必要かどうかを決定します。

もし、VAT登録が必要かどうか判断に迷う場合は、HMRCに直接問い合わせるか、VAT制度に詳しい税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

その他の国のVAT制度

アメリカ、中国、オーストラリアなど、その他の主要な越境EC市場でもVATに相当する税金が存在します。

それぞれの国の制度を理解し、適切に対応する必要があります。

たとえば、アメリカでは州ごとに異なるSales Tax(売上税)が適用されており、VATとは異なる仕組みであることに注意が必要です。

しかし、AmazonやeBayなどのプラットフォームがVATに相当する税金を代行徴収してくれるケースが多く、販売者は個別にVAT対応を行う必要性が低い傾向にありますので販売予定の絵l越境ECモール(プラットフォーム)に事前に確認しておきましょう。

越境EC事業者にとってのVAT対応:具体的な手続きと戦略を理解する

海外販売を成功させるためには、VATへの適切な対応が不可欠です。

しかし、VATの納税義務が生じるタイミングや場所、VAT登録の必要性など、多くの疑問が生じることでしょう。

ここでは、越境EC事業者として知っておくべきVAT対応について、具体的な手続きと戦略を詳しく解説します。

いつ、どこでVATを支払うべきか?

VATの納税義務は、販売する商品、販売先、そして販売方法によって異なります。

  • EU域内での販売:原則として顧客の所在国でVATを納税します。年間売上高が1万ユーロを超える場合は、顧客の所在国でのVAT登録が必要になります。
  • EU域外からの輸入:商品は輸入時に輸入VATが課税されます。ただし、IOSSを利用すれば、手続きを簡素化し、顧客体験を向上させることができます。

VAT登録が必要なケース

VAT登録が必要となる主なケースは以下の通りです。

  • EU域内での一定以上の売上:国によって基準額は異なりますが、年間売上高が1万ユーロを超える場合は、VAT登録が必要となります。
  • 在庫をEU域内に保有する場合:EU域内に倉庫などを保有し、そこから商品を発送する場合は、在庫を保有する国でのVAT登録が必要になります。
  • イギリスへの遠隔販売:年間売上高が85,000ポンドを超える場合、または継続的にイギリスへの販売を行う場合は、イギリスでのVAT登録が必要になります。

VAT申告と納税の手続き

VAT登録後は、定期的な申告と納税が求められます。

  • 申告頻度と手続き:国によって申告の頻度や手続きが異なります。
  • 税理士や代行業者への依頼:複雑な手続きをスムーズに進めるため、専門家への依頼をお勧めします。

VAT登録のメリットとデメリット

VAT登録には、メリットとデメリットの両方があります。

メリット

  • スムーズな取引:顧客の所在国でVATを納税できるため、通関手続きがスムーズになり、顧客満足度向上に繋がります。
  • 顧客からの信頼向上:VATを含めた価格表示は、透明性の高い取引であることを示し、顧客からの信頼獲得に繋がります。
  • 販路拡大:VAT登録をしていないと解説できないEUやイギリスのプラットフォームがあります。
  • VAT還付の手続きがスムーズ:VAT申告と同時に還付請求を行うことができる為

デメリット

  • 手続きの煩雑さ:VAT登録や申告には、煩雑な手続きが必要です。
  • 費用負担:VAT登録や申告に高額な費用が発生することがあります。
  • 管理の負担:各国のVAT制度を理解し、適切に管理する必要があります。(その為、専門家は必須です)
  • 維持費用負担:VAT登録後に販売しなくても維持費用が発生します。(専門家への報酬等)

EU・英国への販売におけるVAT登録すべきかどうかの判断基準:フローチャートで簡単チェック!

EU域内

  1. EU域内での年間売上高は1万ユーロを超えるか?
    • Yes: VAT登録が必要
    • No: 次の質問へ
  2. 150ユーロを超える商品を販売するか?
    • Yes: VAT登録が必要
    • No: 次の質問へ
  3. EU域内に在庫を保有するか?
    • Yes: VAT登録が必要
    • No: 次の質問へ
  4. 販売頻度や顧客数などから、継続的な経済活動とみなされる可能性があるか?(たまたま売れたのでは無い)
    • Yes: VAT登録を検討する(専門家への相談推奨)
    • No: IOSSへの登録で対応可能

英国(イギリス)

  1. イギリスへの年間売上高は85,000ポンドを超えるか?
    • Yes: VAT登録が必要
    • No: 次の質問へ
  2. 135ポンドを超える商品を販売するか?
    • Yes: 輸入VATが発生(顧客が支払う)
    • No: 次の質問へ
  3. 販売頻度や顧客数などから、継続的な経済活動とみなされる可能性があるか?
    • Yes: VAT登録を検討する(専門家への相談推奨)
    • No: VAT登録は不要(ただし、税務当局の判断によっては必要となる場合もある)

上記は一般的な情報であり、具体的な状況によっては異なる場合があります。VAT登録の必要性については、税理士や専門家への相談を強くお勧めします。また、VAT制度は変更される可能性があるため、最新情報を確認するようにしましょう。

IOSS制度の活用

IOSS制度を活用すれば、VAT手続きを簡素化できます。

IOSSは、EUへの150ユーロ以下の商品の遠隔販売におけるVAT手続きを簡素化する制度です。

IOSSを利用することで、上述した輸入時のVAT納税が不要となり、顧客への請求もスムーズになります。

EUへの150ユーロ以下の商品の遠隔販売を行う場合は、IOSSの活用を検討しましょう。

IOSSとは?

  • Import One-Stop Shop(輸入ワンストップショップ)の略
  • 2021年7月1日導入
  • EUへの150ユーロ以下の商品の遠隔販売におけるVAT手続きを簡素化

IOSSのメリット

  • 輸入時のVAT納税が不要:顧客は商品購入時にVATを支払うだけで済み、煩雑な手続きが不要になります。
  • VAT申告と納税がスムーズ:販売者は、IOSSを通じてまとめてVAT申告と納税を行うことができます。
  • 顧客体験の向上:顧客は、追加料金や手続きなしで商品を受け取ることができ、満足度が高まります。

IOSS登録の注意点

  • EU加盟国いずれかでの登録が必要
  • 定期的なVAT申告と納税が必要(専門家への支払い費用が発生する可能性あり)
  • 販売価格にVATを含める必要がある
  • 自社でのIOSS取得はハードルが高い(専門家への支払い費用が発生する可能性あり)
  • 2021年7月以降、IOSSの対象となるのは、EU域外の事業者がEU域内の消費者に直接販売する商品に限られます。EU域内の事業者がEU域内の消費者に販売する商品、またはEU域外の事業者がEU域内の事業者に販売する商品(B2B取引)は、IOSSの対象外です。

eBayやAmazonなどプラットフォームが提供するIOSS番号の利用

  • プラットフォームによっては、プラットフォームが提供するIOSS番号を利用できる場合があります。
  • 利用条件や手続きはプラットフォームによって異なり、手数料が発生する場合もあります。
  • 自分でIOSS番号を取得する手間が省けるのはとてもメリット

越境EC物流代行業者を利用する場合のIOSS活用

  • 物流代行業者がIOSS登録を代行してくれる場合があります。
  • 代行業者を利用することで、VAT手続きの負担を軽減できます。
  • 代行手数料やサービス内容を比較検討する必要があります。
  • 自分でIOSS番号を取得する場合と比較検討し、最適な方法を選びましょう。

まとめ【フローチャートあり】越境ECでVATトラブルを回避!EU・イギリス向け販売の注意点と対策

越境ECにおけるVATは、複雑で煩雑な手続きが必要ですが、適切に対応することで、海外市場でのビジネスチャンスを拡大できます。

株式会社WADACHIは、越境ECモール販売実績30サイト以上、越境EC輸出配送実績10万件以上、越境EC流通総額67億円以上の実績を持つ、越境EC物流の専門家です。

もしVAT対応でお困りでしたら、ぜひ弊社にご相談ください。お客様の状況に合わせて最適なVATソリューションをご提案いたします。

免責事項:この記事は、一般的な情報提供を目的としており、税務・法務に関する専門的なアドバイスを提供するものではありません。具体的なVAT対応については、最新のVATに詳しい税理士や専門家にご相談ください

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WADACHIでは、これまで30サイト以上の海外越境ECモール、自社越境ECサービスで販売してきた経験や、10万件以上輸出配送をしてきた実績を元に、あなたの商品の輸出ECの可能性を無料で診断しています。

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